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です。ちょっと違った絵に見えるわけです。このように見えていますけれども、コンクリートの反射とか石とか、そういうものは非常にはっきり見えるわけです。レーダーは車とか木というのはあまりよく見えない。それでこういうことが可能になったわけです。
これは神戸を中心に淡路島を撮っているわけです。神戸の地震の時に観測するために撮った映像であります。白く光っているところがコンクリートの反射ですから、ビルがたくさんあるようなところがわかります。こういうことがわかってきました。
したがって、こういう人工衛星を使うと自然災害、例えば火山爆発が起きたとします。ちょうど真ん中に写っているのはフィリピンのピナツボ火山が噴火した時です。噴煙が50キロメートルぐらい広がりました。左の上のほうは火山噴火が起きる前です。噴火によって様相が変わり、煙で覆われていますが、噴火の灰と泥流で覆われてしまったのです。それでこの右の端のほうは小さく火山噴火していますが、このひっそりとしたのは雲仙普賢岳です。雲仙普賢岳でも激しい変化が起きたのですが、いかにピナツボ火山が大きな噴火であったかということがよくわかるだろうと思います。
これは先ほどの神戸の地震の時を撮影したものです。神戸の地震の時、人工衛星に積んだレーダーで、地震が起きる前と起きた後のレーダーの反射を重ねて計算しますと、淡路島の北側のほうが約1メートル膨らんでいるのがわかってきたのです。ここのところは何の変化もないところです。縞状になっているのは一つの縞が10センチメートル浮き上がっている、こういうことがわかるようになりました。10センチメートル浮き上がるということは、地上の変化もそういうふうにとらえることができるということであります。
今、お見せした光学的センサーで見た非常に細かく見える世界、それからレーダーでいろいろな変化が見える世界、石とか岩石とか秒とかを分離できる、植物が何であるかがわかる。それから今お見せした膨らみの変化がわかるというようなことを使って、地上を調べてみましょうというのが、私のスペース・アーキオロジーの世界であります。
そのスペース・アーキオロジーの世界を使って、ともかく有名な遺跡、古代都市の跡をプロットしますと、このように砂漠帯の間に見えるわけです。砂漠のところを観測すると、下に秒とか岩とか岩石がわかりますから、上から電波で見ると、下にもぐっていてもそれを反射してくるわけです。そういうことがわかるということであります。そういう技術を使って遺跡を調べてみようということです。
これは2つ画像があります。まず右側の画像ですが、これはシリアのパルミラの遺跡の跡です。何が問題かと言いますと、実は遺跡の跡はここなのです。黒くなっていますけれども、ここに黒くこう見えているところ、これは塩湖なのです。非常に大きい塩湖ですが、通常は乾いていますから塩が吹いているわけです。雨期になりますと、この青くなるところまで広がってくるわけです。水がたまるのです。ただし1週間か10日経つと消えてしまう。消えてしまうということは下に水が抜けてしまうのです。これはすごく広い砂漠ですけれども、このパルミラの都の前には実はこんなに大きな水槽があったわけです。おもしろいことには、この縁に沿ってキャラバン・サライがある。要するに井戸を掘ればそこに水があるということであります。こういうことがわかってきたのです。
地上で調べるより、上から見るとこのように新しい見方が出てくるというのが特徴であります。
ここのところがアンコール・トム、ここがアンコール・ワットです。巨大な石仏の寺院がありますけれども、その横にどういうわけか、こういう深い大きい四角いものがあります。これは人造湖、プールです。灌漑用水をためるところです。長さが8キロメートル、幅が1.5キロメートルもあります。13世紀、14世紀につくられたものです。それでアンコール・ワットというと、この寺院のところだけを注目しますが、実はここに広大な灌漑用水がつくられていると

 

 

 

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